
先月、東京のタスコーヒー ロースタリ (Tasse Coffee Roastery)の穏やかな焙煎機の音に、いつもとは違う熱気が加わりました。人気配信者がスタジオのマイクをカッピングスプーンに持ち替えて訪れたのです。彼女の目標は、SCA(Coffee Skills Program)センソリー・ファンデーションコースを修了し、世界水準のコーヒー知識を福岡の自分の街へ持ち帰ること――将来オープンを予定しているスペシャルティカフェの大きな原動力にするためでした。
なぜアナウンサーが焙煎所の扉を叩いたのか
日本の配信界隈を追いかけている人なら、何万人もの視聴者が集まる彼女の深夜トーク配信を一度は目にしたことがあるかもしれません。ゲームや旅行、フードトレンドについて語るその裏側では、終わりのないハンドドリップのコーヒーが彼女を支えています。一杯一杯に込められた「好奇心」は、やがて本物の情熱へと変わっていきました。
「私は、見えない人たちと何時間も話しているの」と彼女はオリエンテーションのときに冗談めかして言いました。「でも、コーヒーは“味わえる会話”なのよ。」
視聴者からの後押しもあり、彼女はスペシャルティの世界で本当の信頼を得るには、カリスマ性だけでなく「スキル」が不可欠だと気づきました。その気づきこそが、彼女をタスコーヒーのトレーニングラボへと導いたのです。
SCAセンソリー・ファンデーション・デイの舞台裏
1. センサリー・ウォームアップ
トレーナーのWingの指導のもと、クラスはまずシトラスの皮、キャラメルのかけら、ローストナッツなどの香りを嗅ぎ分ける「アロマドリル」からスタートし、味覚と嗅覚を目覚めさせました。
2. フレーバーホイールを極める
受講生たちは、「明るい?」といったあいまいな印象を、「タンジェリンのような酸、甘さは中程度」といった具体的な表現へと言語化していきました。90秒でエチオピア品種を当てるチャレンジでは、配信者の方が3種類のうち2種類を正しくマッピングし、初参加とは思えない見事な結果を残しました。
3. 酸・糖・苦味
クエン酸とリンゴ酸、ショ糖のグラデーション、キャリブレーションされたカフェインの苦味——強度についての超速講義。長年のライブ解説の経験が、チャットウィンドウ抜きで一つひとつの感覚を言語化する助けになっていた。
4. フル SCA カッピング
4つの産地、厳密なタイミング、張りつめた静寂。彼女が「深煎りの苦味」が好きだと思っていたのは、実はより重厚なボディと甘さを求めていたからだと気づいたのです。
フレーバーホイールを超えて学んだこと
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ストーリーテリングは、世界をまたいで伝わる。 彼女が配信で用いている「導入・旅路・カタルシス」という物語の流れは、コーヒーフライト(飲み比べ)を紹介する際にもそのまま応用できます。
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再現性 > 話題性。 キャリブレーションの反復練習を通じて、派手なラテアートだけではなく、安定した抽出と一貫した味覚表現こそが、より大きな信頼を生むことが強調されました。
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コミュニティが最優先。 タスの教育的なアプローチにインスパイアされ、彼女は将来のカフェで、ゲストがバリスタと一緒に学べるよう、毎週センサリーの「オープンラボ」を開催する計画を立てています。
次のステップ
SCAの認定証を手にした彼女は、福岡に戻って物件探しを始めます。新シリーズ「グランドオープンへの道」を立ち上げ、視聴者が内装のカラーパレットやメニュー案に投票できるようにする予定です。Wingはリモートでメンターとしてサポートし、タスコーヒーからはサンプルローストを送り続けて、彼女が味覚をさらに磨けるようにします。
最後のひと口
人気配信者がスペシャルティコーヒーの世界に飛び込む姿は、タスで日々目にしているシンプルな真実を物語っています。「好奇心」と「技術」が出会う場所にこそ、素晴らしいコーヒーは育つということです。配信者でも、ホームブリュワーでも、ただ「もっとおいしい一杯」を求めている方でも、私たちの店のドアも、カッピングスプーンも、いつでも開かれています。
あなた自身のコーヒージャーニーを、次のレベルへ進めてみませんか?
今後開催予定のSCAコースや一般向けカッピングのスケジュールは、当店のウェブサイトでご覧いただけます。また、目黒の焙煎所にふらりと立ち寄っておしゃべりしていただくのも大歓迎です。最初のひと口が、あなたをどこへ連れて行ってくれるかは、誰にもわかりません。